ビゴス(ザワークラウトと肉の煮込み)

写真: Dr. Bernd Gross · CC BY-SA 4.0

ビゴス(ザワークラウトと肉の煮込み)

ポーランドの国民食。ザワークラウトと生のキャベツを、何種類もの肉と一緒に何時間も煮込みます。それだけ長く煮たキャベツは形を失うはずですが、ここでは細切りのまま残ります。酸がペクチンを固めるからで、ザワークラウトが自分で作った乳酸がその細胞壁をしっかり保っているのです。

材料

8人分
  • キャベツ
  • ザワークラウト · 汁ごと買い、汁は捨てない700g
  • キャベツ · 生、細切り500g
  • 肉
  • 豚肩ロース · 3cm角400g
  • スモークソーセージ · キェウバサ。斜めに1cm幅に切る300g
  • スモークベーコン · 塊で買い、粗く切る150g
  • 牛すね肉 · お好みで。煮汁に深みが出る200g
  • その他
  • 玉ねぎ · 粗みじん切り2
  • プルーン · 半分に切る。甘みと燻製の香りをつなぐ8
  • 乾燥きのこ · ポルチーニまたは干ししいたけ。ぬるま湯200mlに30分浸す20g
  • トマトペースト大さじ2
  • ローリエ3
  • オールスパイス(ホール)5
  • ジュニパーベリー · つぶす6
  • 乾燥マジョラム小さじ1
  • 黒粒こしょう小さじ1
  • ラードまたはサラダ油大さじ2

作り方

  1. 乾燥きのこをぬるま湯200mlに30分浸す。その戻し汁は取っておく。きのこの戻し汁を捨てずに使う理由は浸水にある。上澄みだけを注ぎ、砂は残す。

    ⏲ 30分
  2. ザワークラウトを絞り、汁は取っておく。絞ったザワークラウトを味見する。とても酸っぱければ冷水で一度すすぐ。おだやかならそのまま使う。この判断が仕上がりの味を決める。

  3. 厚手の鍋でラードにベーコンの脂を出し、その脂で豚肉と牛肉を何回かに分けてすべての面に焼き色をつける。鍋を詰めすぎると蒸されて灰色の肉になる理由は焼き色とメイラード反応にある。

    ⏲ 15分
  4. 肉を取り出し、同じ鍋で玉ねぎを透き通るまで炒める。トマトペーストを加え、色が濃くなるまでさらに2分炒める。

    ⏲ 8分
  5. ザワークラウトより先に生のキャベツを入れ、15分炒めてかさを減らす。鍋に酸が入ると生のキャベツはそれ以上やわらかくならないので、この順番が大事。

    ⏲ 15分
  6. 絞ったザワークラウト、焼いた肉、ソーセージ、きのこと戻し汁、プルーン、ローリエ、オールスパイス、ジュニパーベリー、黒粒こしょうを加える。ザワークラウトの汁の半量を注ぎ、ひたひたになるまで水を足す。

  7. ふたをして、できるだけ弱い火で2時間半煮る。コラーゲンに何が必要かは煮込みにある。ここで大事なのは、同じ時間のあいだにキャベツが崩れないこと。30分に1回混ぜ、それ以上は混ぜない。

    ⏲ 150分
  8. ふたを取り、さらに30分煮て水分を飛ばす。ビゴスはスープではない。スプーンの上でこんもり盛れる状態にする。

    ⏲ 30分
  9. マジョラムを混ぜて味見する。酸味が足りなければ、取っておいたザワークラウトの汁をスプーン1杯ずつ加える。水でのばすのではなく酸で調整するのがコツ。

  10. 火から下ろして完全に冷まし、翌日温め直して出す。1日おくと燻製の香りと酸が互いに移り合って変わる。ポーランドでは3日にわたって温め直すこともある。

    ⏲ 20分

アレンジ

  • 狩人のシチュー。もとは狩猟肉で作られ、今でも多くの家庭が鹿肉、イノシシ、野鴨を入れます。英語名はそこから来ています。
  • ザワークラウトだけで。生のキャベツを入れないと、ずっと酸っぱく、色もかなり濃くなります。半々がいちばん一般的で、上のレシピもそれです。
  • プルーンの代わりに。すりおろしたりんご、またはプラムジャムをスプーン1杯。甘みが同じ役目を果たします。
  • 赤ワインやマデイラ。カップ1杯入れるのが一般的です。アルコールがすべて飛ぶわけではないことは料理と酒にあります。
  • 近隣の国々。ko.wikipediaにもあるように、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナでも食べられますが、国民食とされているのはポーランドのものです。
  • 食べ方。黒いライ麦パンと一緒に、またはピエロギに添えて。

コツ

  • ザワークラウトの汁は捨てないでください。料理全体の酸味を調整するものです。絞って取っておけば、水を加えずに最後に酸味を上げられます。
  • 煮汁は残らないのが正解です。最後のふたなしの30分を省くと、キャベツのスープになります。スプーンの上でこんもり盛れるかどうかが目安です。
くわしい説明と理由 (5)
  • キャベツの形を保っているのは酸です。浸水には「酢、トマト、レモンはペクチンを固くする」とあり、だから豆料理では豆がやわらかくなってからトマトを入れます。そこでは酸は妨げです。ビゴスではそれこそが料理を成り立たせています。生のキャベツなら3時間でどろどろになりますが、ザワークラウトは自分で作った乳酸で、自らの細胞壁のペクチンをすでに固めているので、細切りが残るのです。
  • だから生のキャベツを先に入れます。順番を逆にすると、生のキャベツがやわらかくなる前に鍋全体が酸性になり、最後までシャキッと硬いままで、二つの食感が出会いません。豆料理の順番とまったく同じ理屈です。
  • ザウアーブラーテンと読み比べてください。そのページは、酸は数ミリしか入り込まないので、酢が肉をやわらかくするという説は誤りだと言っています。酸は肉の中には入れませんが、野菜の構造は保ちます。同じ酸が、作用する相手によって正反対の結果になるのです。
  • 長く煮るのは、酸味を一部飛ばすためでもあります。発酵の基本は、発酵ペーストを強く煮立てると香りと菌が死ぬので最後に入れる、と言っています。ビゴスはあえてその逆をします。何時間も煮ることでザワークラウトの生のツンとした匂いが飛び、揮発しない乳酸と、その下のずっと深い味が残ります。最後にザワークラウトの汁を戻して酸味を取り戻すのはそのためです。
  • 翌日は別の料理です。冷まして温め直すと、燻製の香りがキャベツに、酸が肉に移ります。ビールと砂糖で甘酸っぱさを煮込むあいだに作るカルボナード・フラマンドと違い、こちらは鍋の外で、時間によってバランスを仕上げます。

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