葱油餅(ツォンヨウビン、層になったねぎの平焼きパン)

写真: Howard61313 · CC0

葱油餅(ツォンヨウビン、層になったねぎの平焼きパン)

中国の平焼きパンです。薄く伸ばした生地に小麦粉と油のペーストを塗り、青ねぎを散らして棒状に巻き、渦巻きにしてから、もう一度麺棒で平らにのばして揚げ焼きにします。ほかの層状のパンは層同士を押しつけてしまうとして麺棒を禁じますが、このパンは麺棒を使っても層が残ります。層を隔てているのが、麺棒で押し出せる液体の油の膜ではなく、動かせない固体、つまり小麦粉のペーストと刻んだ青ねぎだからです。青ねぎ自身の水分はフライパンの中で蒸気になり、内側から層を押し上げます。

材料

4人分
  • 小麦粉(中力粉)300g
  • 熱湯 · 液体の半分は熱湯で入れる(コツ参照)110ml
  • 冷水70ml
  • 塩小さじ0.5
  • 油酥(ヨウスー):小麦粉と油のペースト
  • サラダ油大さじ4
  • 小麦粉大さじ3
  • 塩小さじ1
  • 白こしょう小さじ0.5
  • 具
  • 青ねぎ · ごく細かく刻む、主に緑の部分120g
  • 焼く用
  • サラダ油 · フライパンにたっぷりの膜ができる量大さじ5

作り方

  1. まず小麦粉と塩に熱湯を注ぎ、箸でほぐしながら混ぜ、次に冷水を加えてまとめる。熱湯がでんぷんの一部を糊化させ、それで生地が破れずに伸びるようになる。

    ⏲ 5分
  2. なめらかになるまで5分こね、覆いをして30分休ませる。これを省くと、麺棒を転がすたびに生地が縮んで戻る。

    ⏲ 30分
  3. 油酥を作る。小麦粉大さじ3を乾いたフライパンで軽く炒って火から下ろし、油を混ぜ入れ、塩と白こしょうで味をつける。もったりしたペーストにすること。ゆるいと、のばすときに押し出されてしまう。

    ⏲ 5分
  4. 生地を4等分し、それぞれを厚さ2mm、光が透けるほどの長方形にのばす。

    ⏲ 5分
  5. 油酥を薄く均一に塗り、青ねぎを全面に散らす。巻き終わりがくっつくよう、一辺だけは何も塗らずに残す。

    ⏲ 3分
  6. 長い辺からきつく巻いて棒状にし、それをぐるぐるとかたつむりの形に巻いて、端を下に入れ込む。

    ⏲ 3分
  7. 覆いをしてさらに15分休ませる。すぐにのばすと生地が縮んで戻り、ペーストが突き破って出てくる。

    ⏲ 15分
  8. かたつむりを麺棒で直径約18cm、厚さ6〜7mmに押し広げる。一度に強く押さず、縁から少しずつ転がす。側面からペーストがにじみ出たら押しすぎ。

    ⏲ 3分
  9. フライパンにたっぷりの油を入れ、中弱火で片面4〜5分ずつ焼く。ふたはしない。閉じ込めた蒸気で表面がべたつく。

    ⏲ 9分
  10. 取り出したら両手で縁を中心に向かって押し寄せる動作を2〜3回くり返し、層をほぐす。切り分けて熱いうちに出す。

    ⏲ 1分

アレンジ

  • 台湾の厚いタイプ:1.5cmにのばし、外はカリッと、中はもちっとさせます。夜市で卵を割り落とすのはこちらです。
  • 抓餅(ジュアビン):焼いたあと、トングで四方から押しつぶし、層を完全にばらばらにします。生地は同じで仕上げが違い、台湾ではこれがいちばんよく見かける形です。
  • ほかの具:ニラ、チャイブ、あるいは油の代わりに溶かしたラード。ラードは層をよりはっきり分け、冷めると硬く固まります。
  • つけるもの:黒酢とラー油を合わせた醤油、またはにんにく醤油。豆乳を添えれば、中国北部の朝ごはんです。
  • ロティ・チャナイとの対比:どちらも伸ばした生地を巻いて層を作りますが、巻きのあいだに挟むものが正反対です。最初のコツはその話です。
くわしい説明と理由 (2)
  • 巻かずに折る:韓国語版ウィキペディアが説明する作り方では、生地を巻かずに折り重ねます。扇のように折ってから押し広げると層は平行に重なり、渦巻きに巻くと層は輪になって中心が厚くなります。どちらも同じ屋台で売られています。
  • 海鮮チヂミとの対比:韓国語版ウィキペディアがこのパンを説明するときに真っ先に引き合いに出す料理です。同じ青ねぎを、あちらは薄い生地の下に敷き、こちらは硬い生地の中に閉じ込めます。コツでもう一度触れます。

コツ

  • 中弱火で、じっくり。 強火では内側の層が広がる余地ができる前に外側が固まります。4〜5分は長く見えますが、それが層のできる時間です(火加減)。
くわしい説明と理由 (9)
  • 麺棒でのばしても層が残るのは、層のあいだにあるのが固体だからです。 ロティ・チャナイは同じ渦巻きを作りながら、正反対のことを言います。「麺棒は層同士を押しつけ、ただの平焼きパンになってしまいます」。あのパンの層を隔てているのは液体の油なので、麺棒で押すと油は横へ逃げ、生地と生地が触れてくっつきます。葱油餅の巻きのあいだにあるのは硬い小麦粉と油のペーストと刻んだ青ねぎです。押されてもその場にとどまり、生地の面同士が触れるのを防ぎます。同じ動作が、一方のパンでは失敗で、もう一方では工程なのです。
  • あちらが禁じる小麦粉が、ここでは材料です。 ロティ・チャナイは作業台に粉を置かせず、その理由をこう書いています。「粉は生地を乾かし、層をくっつけます」。それは正しく、層のあいだに油の代わりに乾いた粉が入ることについての話です。油酥の小麦粉は乾いた粉ではなく、油に混ぜ込んだペーストです。同じ物質が、ある状態では接着剤になり、別の状態では仕切りになります。
  • 青ねぎの水分が内側から層を持ち上げます。 ロティ・チャナイは層がはがれる理由をこう書いています。「伸ばした生地を折って焼くだけでは、薄いパンになります。帯状に折り、それを渦巻きに巻くことで巻きの間に油が閉じ込められ、焼くと層がはがれます」。あちらでは油がそれをします。こちらでは細かく刻んだ青ねぎがフライパンの中で水分を出し、その水分が厚さ6〜7mmの生地の中で蒸気になって層をこじ開けます。だから青ねぎが少なすぎると層が減ります。青ねぎは風味であると同時に膨張剤でもあるのです(閉じ込めた蒸気が何をするかは蒸し料理で)。
  • ふたをしないのも同じ理由です。 その蒸気は層のあいだで仕事をしたら、抜けていかなければなりません。ふたの下では上に逃げられず、表面に落ちて、カリッとするはずの面がべたつきます。
  • 水の半分は熱湯で入れます。 熱湯はでんぷんの一部を糊化させ、グルテンの網目をゆるめます。それで生地が破れずに2mmまで伸びるのです(生地とグルテン)。全部熱湯だと柔らかすぎて層を保てず、全部冷水だと縮んで戻り、薄くのびません。
  • 二度の休ませのうち、大事なのは二度目です。 巻いたものをすぐにのばすと生地が縮んで戻り、継ぎ目からペーストを押し出します。15分で十分で、そのあいだに青ねぎが表面を湿らせ、のばしやすくもしてくれます。
  • 青ねぎの扱いは海鮮チヂミと逆向きです。 あちらは自分の組み立てをこう書いています。「その上に生地を流し、海鮮を上に散らしてから生地をもう少し回しかけます」。あちらでは青ねぎは敷かれ、生地はそれをまとめておく最小限の量です。こちらでは青ねぎは閉じ込められ、主役は生地です。だからあちらは一度しか裏返せず、こちらは麺棒にも耐えるのです。
  • 取り出したらつぶします。 ロティ・チャナイがクプッと呼ぶのと同じ動作です。くっついてしまった層を引きはがし、するかしないかで食べたときの違いがいちばんはっきり出ます。
  • 冷凍するならのばす前に。 巻いたかたつむりを冷凍し、冷蔵庫で解凍してから押し広げて焼きます。焼いてから冷凍すると、温め直したときに層がへたります(残り物の温め直し)。

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