クランペット(リングで焼くイースト生地、穴が貫通している)

写真: Kolforn · CC BY-SA 4.0

クランペット(リングで焼くイースト生地、穴が貫通している)

イーストでふくらませた生地を金属のリングに流し、片面だけを焼くイギリスのパンです。リングがすべてです。側面を囲まれた生地は広がれないので厚く立ち上がり、気泡は表面ではじけて終わるのではなく、底から上まで通るトンネルを残します。だから溶かしバターをかけると、皿ではなくクランペットの中に入っていくのです。そして一度では完成しません。鉄板から下ろしたクランペットはわざと未完成のままで、食べる人がトースターで二度目の加熱をします。それも、一度も熱に触れていない面を焼くのです。

材料

8人分
  • 強力粉250g
  • 牛乳 · 人肌くらいに温める175ml
  • 水 · ぬるま湯175ml
  • インスタントドライイースト5g
  • 砂糖小さじ1
  • 塩小さじ1
  • 最後に混ぜるもの
  • 重曹小さじ0.5
  • ぬるま湯 · 重曹を溶かす用大さじ2
  • 焼く用
  • 油またはバター · リングとフライパン用大さじ2
  • 金属のリング · 直径9cm、深さ2〜2.5cm(アレンジ参照)4

作り方

  1. 小麦粉、イースト、砂糖、塩を泡立て器で混ぜ、温めた牛乳とぬるま湯を加えて泡立て器でよく混ぜる。これは生地(ドウ)ではなく、もったりした流し込める生地である。スプーンから途切れずに、しかしゆっくり流れ落ちる状態にする。

    ⏲ 5分
  2. 覆いをして温かい場所に1時間おく。表面全体が泡になり、ボウルを揺らすと生地がたぷんと動いて沈むようになればよい。風味の大部分とふくらみの大部分はここで生まれる。

    ⏲ 60分
  3. 重曹をぬるま湯大さじ2に溶かし、生地に加えて数回だけ混ぜ、さらに15分おく。イーストが作った構造の上に、最後のガスをひと押し加える工程である。

    ⏲ 15分
  4. 厚手のフライパンを中弱火で熱し、フライパンとリングの内側に薄く油を塗り、リングをフライパンにのせて一緒に温める。冷たいリングには生地がくっつく。

    ⏲ 5分
  5. 各リングに深さの半分ほどまで生地を流す。入れすぎた場合の問題はあふれることではなく、穴が上まで届かなくなることである。

    ⏲ 2分
  6. 裏返さずに8〜10分焼く。3分ほどで穴が上がり始め、上面全体に広がる。表面がぬれて見えなくなり、乾いてつやのない状態になれば焼き上がり。

    ⏲ 9分
  7. トングでリングを外す。側面がくっついていたら、ナイフの先でリングの内側をなぞる。上面は白いままにしておく。ここで色をつけようと裏返すと穴がふさがる。

    ⏲ 2分
  8. 網の上で完全に冷ます。熱いうちに重ねるとくっつき、穴がつぶれる。作る人の仕事はここまで。

    ⏲ 30分
  9. 食べるとき:トースターか乾いたフライパンで白い面を上にして焼き色がつくまで焼き、溶かしバターをかける。バターは上にとどまらず、穴を伝って中へ流れ込む。

    ⏲ 3分

アレンジ

  • スコットランドのクランペット:同じなのは名前だけです。ふつうは巻いて食べる薄いパンケーキで、リングも穴もありません。
  • 全粒粉:粉の30%まで。それ以上だと生地が重くなり、気泡が上まで届きません(小麦粉の選び方)。
  • ひと晩おいた生地:1時間ではなく冷蔵庫でひと晩発酵させると、より酸味があって深い風味になります。重曹は翌日、焼く直前に加えます。
くわしい説明と理由 (3)
  • パイクレット:同じ生地をリングを使わずにフライパンに直接流したものです。ミッドランズやウェールズでよく見られ、リングが何をしているかを示す比較対象になります。広がると薄く焼け、穴は浅く、縁は好き勝手な形になります。同じ生地で、別のパンです。
  • イングリッシュマフィンとの対比:あちらは流し込む生地ではなくこねた生地で、リングの中で発酵させ、両面を焼き、横半分に割って食べます。クランペットは決して割りません。開く内側がなく、その役目を穴が果たしているからです。
  • のせるもの:定番はバターとジャム。はちみつ、マーマイト、上で溶かしたチーズも。穴が液体を吸うパンという点ではインジェラと同じ発想ですが、こちらの穴が吸うのはシチューではなく溶かしバターです。

コツ

  • リングはフライパンと一緒に温めます。 熱い生地が冷たいリングに触れると、触れたところで固まってくっつき、リングを外すときにクランペットの側面が破れます。
  • 上面に色をつけようと裏返さないこと。 白いままが正解です。裏返すと開いた穴が押しつぶされ、二度目の加熱の意味がまるごとなくなります。
くわしい説明と理由 (8)
  • 穴が貫通していることが、このパンのすべてです。 インジェラは片面焼きをこう説明しています。「上面は鉄板に触れないので、生地の中を上がってくる気泡が表面ではじけて開いたまま固まり、『目』と呼ばれるハチの巣状の穴が残ります」。それは正しく、あのパンは薄いのです。表面ではじけた気泡は表面に跡を残し、そこで終わります。クランペットはリングに囲まれているので生地が広がれず、高さ2cmのまま焼かれ、気泡は上がっていく途中でその厚み全体を通り抜けます。上面の穴の一つひとつが、底まで届く管の入り口なのです。だからかけたバターが皿ではなくパンの中に入っていきます。
  • パンケーキが合図として読むものを、こちらは製品として残します。 あのページはこう書いています。「泡がはじけて穴が残るのは、その下の生地がガスの抜け道を保てるくらいにすでに固まったという意味です」。パンケーキでは穴は次の動作への合図で、裏返すと消えてしまいます。クランペットでは、それこそが作っているものです。一方はその現象を時計として使い、もう一方は目的として使います。
  • イーストと重曹を、この順番で使います。 流し込む生地をふくらませる方法は二つあり、たいていのパンはどちらか一方を選びます。インジェラが記すようにブリヌイは「あちらも発酵させた流し込む生地ですが、市販のイーストで2時間」のもので、パンケーキは化学的なふくらみだけで動きます。「市販のベーキングパウダーには二種類の酸が入っていて、一つは水に触れるとすぐに反応し、もう一つはフライパンの熱で初めて反応します」。クランペットは両方を順番に使います。イーストは1時間かけて風味と構造を作り、重曹は焼く直前に入れて、生地がリングに触れるその瞬間に最後のガスが届くようにします。韓国語版ウィキペディアには、イギリスのパン職人が特徴的な穴を作るためにわざわざベーキングパウダーを加えたと記されています。パンをふくらませるためではなく、穴をあけるために入れたのです。ほかの料理ならベーキングパウダーが必要なところでただの重曹で済むのは、1時間の発酵ですでに生地が酸性になっていて、重曹がガスを出すには酸が必要だからです。
  • 一度目の加熱は仕上げではありません。 ビスコッティ・ディ・プラートは、二度目の焼きが火を通すためではなく乾かすためである理由をこう書いています。「一度目の焼きで生地はもう焼き上がっていて、二度目は新しく切った面から水分を追い出すためだけにある」。クランペットはこの文を逆にします。一度目のあとでは焼き上がっていないのです。鉄板は底と側面を固め、穴をあけます。色とカリッとした食感はあとから、一度も熱に触れていない面にやってきます。作ることと焼き上げることが、二人に分かれるのです。
  • 弱めの火で、長く。 熱すぎると、インジェラが書いていることが先に起こります。「表面が熱い鉄板に触れた瞬間、そこは膜になって固まり、下の気泡を閉じ込めます」。底が早く固まると気泡は行き場を失って生地の中に閉じ込められ、上面はぬれたままになります。8分は長く見えますが、それで正しいのです。
  • 生地の固さが穴を決めます。 インジェラの「薄すぎると破れ、厚すぎると目ができません」はここでも当てはまりますが、失敗の見た目は違います。ゆるいとリングの下から漏れ出し、固いと気泡が上まで届かず、表面のなめらかなパンになります。スプーンから途切れずにゆっくり流れ落ちる状態にします。
  • 半分まで入れます。 いちばん多い失敗です。リングがいっぱいだと気泡が表面まで届くための勢いを失い、上面がふさがってしまいます。そうなると、いくらトーストしてもバターの行き場がありません。
  • 冷ましてから保存します。 熱いうちに重ねるとくっつき、穴がつぶれます。密閉して2日、冷凍庫なら1か月。冷凍したものは解凍せずにそのままトースターへ入れられます(食感を損なわない冷凍と解凍)。

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