
写真: kimishowota · CC BY-SA 2.0
温泉卵
白身はまだとろりと流れるのに黄身は固まっている、日本の卵料理です。ゆで卵のちょうど逆で、その理由はただ一つ、温度差がないことです。ゆで卵で白身が先に固まるのは、白身のほうが早く固まるたんぱく質だからではなく、外側が100°Cなのに中心はまだ冷たいからです。白身の大部分はしっかり固まるのに80°C近くが必要で、黄身は約70°Cで固まりきるので、卵全体を68〜70°Cに保てば順番が逆になります。このレシピにあるのは時間ではなく、保つべき温度です。
材料
作り方
- ⏲ 10分
だし、醤油、みりんを一度煮立ててつゆを作り、冷ましておく。熱いままかけると、ゆるい白身に触れたところから火が通ってしまう。
- ⏲ 30分
卵を冷蔵庫から出し、室温に30分置く。4°Cから始めると、中心がその温度帯に届く前に湯が冷めてしまう。
- ⏲ 10分
ふた付きの厚手の鍋で水1lを沸かす。薄い鍋ではできない。熱を保つことが、このレシピの唯一の温度調節器だ。
- ⏲ 5分
火を止め、冷水約600mlを注いで68〜70°Cにする。確実なのは温度計だ。沸騰した湯1lなら冷水はおよそ500〜600ml必要になる(5対1では約85°Cにしかならない)。
- ⏲ 30分
卵を静かに入れ、ふたをして火にかけずに25〜30分置く。鍋を火に戻さないこと。80°Cを超えると白身が固まり、普通の半熟卵になる。
- ⏲ 2分
取り出して冷水に1分つけ、余熱を止める。
- ⏲ 3分
小さな器に一つ割り入れる。白身がゆるく流れ出て、黄身は形を保っていればよい。それが唯一の確かめ方だ。冷ましたつゆをまわりに注ぎ、小ねぎと七味をのせる。
アレンジ
- ご飯や麺に:牛丼、カレーライス、うどんやぶっかけうどんに一つ落とすのが、いちばんよくある使い方です。ゆるい白身がソースになります。
- 長く、低い温度で:63°Cで1時間置くと、白身は少しまとまり、黄身はカスタードに近くなります。低温調理器があれば、こちらのほうが再現しやすい方法です。
- 本場では:65〜75°Cの温泉が湧くところでは、卵をかごに入れてそのまま湯に沈めます。名前の由来はこれで、湯の峰や別府で売られているのもこれです。
- 黒たまごとは別物:大涌谷の黒たまごは、硫黄化合物で殻が黒くなったゆで卵です。似ているのは名前だけです。
- 茶葉蛋の逆:あちらは殻をつけたままにして、液体がひびの入ったところにだけ届くようにします。同じ卵で、違いは殻を覆いとして使うかどうかです。
コツ
- 火に戻さないこと。ぬるく感じてコンロに火をつけた瞬間、鍋底の湯が80°Cを超え、触れている白身が固まります。下がりすぎたら、代わりに熱湯を少し足します。
くわしい説明と理由 (6)
- 温度差がないことが、この料理のすべてです。白身は約62°Cで、黄身は約68°Cで固まり始めます(卵)。これは始まりの温度です。固まり終わる順番はその逆で、白身の大部分を占めるたんぱく質はしっかり凝固するのに80°C近くが必要なのに対し、黄身は約70°Cで固まりきります。だから68〜70°Cに保てば、黄身だけが固まるのです。
- ゆで卵が逆になるのは、別の理由です。ゆで卵の6分、7分、9分という時間は、温度差を測っています。殻は100°Cなのに中心はまだ冷たいのです。その温度差を取り除けば、順番は逆になります。
- 鍋が温度調節器です。ふたをした厚手の鍋なら、25分で数度しか下がりません。薄い鍋やふたをしない鍋では15分で60°Cを下回り、黄身も固まりません。魔法瓶でも作れます。
- スコッチエッグとの対比。あちらは1cm離れた二つの中心を、時間をずらして狙います。まず黄身を6分30秒で固め、しっかり冷やしてから揚げるのです。こちらは中心が一つで、代わりに温度差を取り除きます。同じ二つの数字への、二つの答えです。
- 新しすぎる卵は殻がむきにくいものですが、ここでは関係ありません。何もむかず、卵は器に直接割り入れるからです。この料理で新しい卵が有利なのは、白身が広がりにくいことだけです。
- 時計ではなく形で判断します。一つ割ってみて、白身が薄いスープのように流れ、黄身がまとまっていれば正解です。白身が白く濁って固まっていれば、湯が熱すぎたのです。
この料理の土台になる基本
- 火加減:予熱、油、フライパンの読み方同じ材料でも、フライパンの温度しだいで別の料理になります。油を入れるタイミング、音で熱を読む方法、そして逆に弱火を求める料理について。
- 卵:固まる温度とそれが決めること卵白は62°C、卵黄は68°Cで固まります。この2つの数字で、スクランブルエッグも、ゆで卵も、蒸し卵も、クレーム・アングレーズも一度に説明がつきます。
- 下ゆで:野菜を緑のまま保つ下ゆでした野菜がくすむのは、酸と熱のせいです。鍋を大きくする理由、ふたをしない理由、そして氷水が本当は何のためにあるのか。
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https://cookiki.com/ja/r/onsen-tamago · cookiki · 利用者の投稿は CC BY-SA 4.0 で公開されています。











