梅干し(塩漬けして天日干しした梅)

写真: Σ64 · CC BY-SA 3.0

梅干し(塩漬けして天日干しした梅)

梅を1か月塩に漬け、3日間天日に干し、それから自分の漬け汁に戻す日本の保存食。干し柿は干すことで仕上がりますが、梅干しでは干すのは途中の工程で、干したあとの実は自分が出した漬け汁に戻ります。

材料

20人分
  • 梅干し(梅1kg分)
  • 梅 · 黄色く熟したもの。コツ参照1kg
  • 粗塩 · 梅の重さの20%200g
  • 焼酎 · 35度。梅と容器を拭く用50ml
  • 赤く色づける場合(好みで)
  • 赤じその葉 · 葉だけ、茎は除く200g
  • 塩 · 赤じその重さの20%40g

作り方

  1. 梅を一晩水に浸してアクを抜き、竹串でなり口(へた)を取る。傷のあるものややわらかいものは除く。悪い梅がひとつあるだけで、容器全体が危うくなる。

  2. 梅を1個ずつ布で拭いて水気を取り、さらに焼酎で湿らせた布で拭く。残った水分は、かびが生え始める場所になる。

    ⏲ 30分
  3. 消毒した容器に梅と塩を交互に重ねて入れ、最後を塩の層にする。梅の重さの20%が伝統的な分量だ。

    ⏲ 20分
  4. 梅と同じ重さの重しをのせ、ふたをして涼しい場所に置く。3〜4日で実の上まで水が上がってくる。これが梅酢だ。3日たっても上がってこなければ、塩が足りない。

  5. 1か月置く。ここで熟成しているものは何もない。塩が水分を引き出し、その水の中に梅自身のクエン酸が濃縮されていく。

  6. 赤じそを使う場合:葉を塩でもみ、そのつど黒い汁を絞って捨てることを2回くり返し、3回目は梅酢を少しかけてもむ。ここで葉は紫から鮮やかな赤に変わる。赤じそを梅の上に広げてのせ、元に戻す。

    ⏲ 20分
  7. 真夏の晴天が3日続く日を選ぶ。梅を取り出してざるに重ならないように並べ、昼は日に当て、夜は夜露に当て、1日1回裏返す。これが土用干しだ。

  8. 3日目の夕方、梅酢に戻す。干すのが最後ではなく途中であることが、この漬物のすべてだ。一晩置いてから、保存用の瓶に移す。

  9. 涼しく暗い場所で3か月以上寝かせる。塩気は時間とともに丸くなる。梅酢は別に瓶に詰め、野菜の和え物やすし飯の味つけに使う。

アレンジ

  • 白干し:赤じそを使わずに作るもの。塩分は20%ほどで、際立ってよく日もちします。赤い色は江戸時代に加わったもので、赤じそによるものです。
  • 梅漬け:塩漬けしたまま天日に干さないもの。このレシピから途中の工程を抜いたもので、だから名前が違います。
  • 練り梅:種を除いてなめらかなペーストにしたもので、きゅうりや鶏のささみを和えるのに使います。
  • 梅酢:副産物ではなく調味料です。赤じそを入れれば赤梅酢、白干しなら白梅酢です。
  • どこで出会うか:おにぎりとお弁当。白いご飯の真ん中に梅干しをひとつだけのせた弁当は、日本の国旗にちなんで日の丸弁当と呼ばれます。
くわしい説明と理由 (1)
  • 調味梅干し:店に並ぶ減塩の瓶詰めは、白干しを水に浸して塩を抜き、味をつけ直したものです。日もちはずっと悪く、賞味期限も短くなります。伝統的な作り方で正しく保存すれば、100年たったものでもまだ食べられます。

コツ

  • 塩を減らさないこと。 約15%を下回ると、かびの危険が急に高まります。塩辛すぎるなら、きちんと作ってからあとで塩抜きするのが順序です。それこそ店の瓶詰めがしていることです。
  • 表面の白い結晶は塩で、かびではありません。 乾燥した状態では、塩が数mmの大きさの結晶になって出てきます。綿毛のようならかび、結晶ならかびではありません。
くわしい説明と理由 (6)
  • 干すのは最後ではなく途中です。 ほかの干した食べ物では、干すことで仕上がります。コッカムは干すことそのもので、たくあんは水に沈めなくてもぬか床が働くところまで水分活性を下げるために干し、プガクは油で膨らむように干し、ラヴァシュは固く干してから水で戻し、ファンテククのスケトウダラはスポンジのようになるまで凍結と解凍をくり返し、クルトブのクルトは石のように固くなるまで干します。梅干しは3日間日に当てたあと、自分の漬け汁に戻ります。皮は丈夫になり、果肉はまたやわらかくなって、干物でも水物でもないものに仕上がります。
  • 発酵食品ではありません。 長期保存用の発酵には5%以上の塩が必要ですが(発酵の基本)、これは20%で、そのうえ梅自身のクエン酸があります。乳酸菌は育たず、実が漬け汁に沈んでいるかぎり、かびも育ちません。キムチや泡菜と違い、これは何ひとつ育たない漬物です。だから100年もつのです。
  • ピクリーズは逆の方法で酸を得ます。 どちらも漬け汁がそれだけで一つの産物です。けれどもピクリーズは酸を瓶から注ぎ、梅干しは水分を取り除いて、実がもともと持っていた酸を濃縮します。同じ場所への逆の道筋です。
  • 赤じその赤はpH指示薬です。 しそのアントシアニンは酸の中で鮮やかな赤になります。だから葉はもんでいる間は濃い紫に見え、梅酢をかけた瞬間に赤くなります。ボルシチで起きることとは違います。あちらでは酸がベタニンの色を守り、ここでは酸が色を変えます。
  • 3日以内に水が上がらなければなりません。 上がらなければ、塩が少なすぎるか、実が未熟すぎます。漬け汁より上に出ているものから先にかびる、というのは泡菜が守っているのと同じ決まりです。
  • 3日間の天日干しは続けてでなくてもかまいません。 雨が降ったら取り込んで梅酢に戻し、次に晴れた日にまた干します。土用干しという名前は、夏の盛りの日差しを指しています。

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