マドレーヌ(おへその膨らんだ貝殻形の焼き菓子)

写真: Un Chausson · CC BY-SA 4.0

マドレーヌ(おへその膨らんだ貝殻形の焼き菓子)

ロレーヌ地方生まれの貝殻形の小さな焼き菓子で、背中にぽっこりとしたおへそがあります。このおへそは飾りではなく、温度差の結果です。休ませた冷たい生地がとても熱いオーブンに入ると、真ん中がまだ冷たい液体のうちに外側がすぐ固まり、膨らめる場所は中心から上しか残りません。常温の生地を焼いたり、ぬるいオーブンで焼いたりすると、均一に膨らんで平らな小さなケーキになります。このレシピでいちばん大事な材料は冷蔵庫です。

材料

12人分

作り方

  1. 卵、砂糖、はちみつ、塩を泡立て器で混ぜる。泡立てないこと。空気を含ませる生地ではない。砂糖が溶けて色がひと段階薄くなったらやめる。

    ⏲ 3分
  2. 小麦粉とベーキングパウダーをふるい入れ、粉気がなくなるまでさっくり混ぜる。それ以上混ぜるとグルテンができて硬くなる(生地とグルテン)。

    ⏲ 1分 30秒
  3. 冷ました溶かしバターを2〜3回に分けて加え、使うならレモンの皮も加える。生地がなめらかにまとまったらやめる。

    ⏲ 2分
  4. 表面にぴったりラップをして冷蔵庫で最低1時間、できれば一晩休ませる。この工程こそがレシピ。冷たい生地でなければオーブンの中で外側と中心の温度差が生まれず、その差がおへそになる。

    ⏲ 60分
  5. 型に溶かしバターを塗って小麦粉をふり、余分をはたき落とす。型も冷やしておく。貝殻の模様がくっきり出るのは冷たい型からだけ。

    ⏲ 5分
  6. オーブンを220°Cでたっぷり20分予熱する。空気だけでなく庫内の壁や天板まで熱くしなければならない理由はオーブンの中で本当に起きていることにある。予熱が足りないとおへそは出ない。

    ⏲ 20分
  7. 冷たい型に冷たい生地を8分目まで入れる。真ん中にスプーンで落とし、広げない。広げるのはオーブンの仕事。

    ⏲ 5分
  8. 220°Cで4分、そのあと180°Cに下げて6〜8分焼く。最初の4分がおへそを作り、残りで中に火を通す。その4分間はオーブンの扉を開けないこと。

    ⏲ 10分
  9. 縁がこんがり濃い茶色になり、中心が盛り上がったら取り出し、すぐに型から外して網にのせる。型に入れたままだと底がしける。

    ⏲ 1分
  10. その日のうちに食べる。外はカリッ、中はふんわりの時間は1〜2時間。翌日には全体がしっとりする。それはそれでおいしいが、別のお菓子だ。

アレンジ

  • チョコレートがけ。冷めたら貝殻側をダークチョコレートにくぐらせます。おへそは何もつけずに残したほうがきれいです。
  • ほかの香りづけ。オレンジの皮、バニラ、ピスタチオ、ラベンダーのはちみつ。生地がシンプルなので、どれもよく合います。
  • パウンドケーキとの関係。配合はパウンドケーキに近いですが、作り方は違います。あちらはバターをすり混ぜて空気を含ませ、こちらは最後に溶かしバターを加えます。
くわしい説明と理由 (2)
  • マドレーヌ・ド・コメルシー。元祖はシンプルなレモン風味です。韓国語版ウィキペディアは発祥をロレーヌ地方ムーズ県のコメルシーとし、ポーランド王スタニスワフ・レシチニスキの料理人にまつわる逸話を伝えています。
  • 焦がしバター(ブール・ノワゼット)。バターをナッツのような茶色になるまで加熱し、冷ましてから使うと、まったく違うお菓子になります。仕組みはムニエルと同じです。

コツ

  • 8分目まで、それ以上は入れないこと。縁まで入れると横にあふれ、ドームではなくきのこの形になります。
  • 翌日には別のお菓子です。はちみつのおかげで乾きはしませんが、カリッとした皮は失われます。お店のマドレーヌがたいてい全体にしっとりしているのもそのためです。
  • マドレーヌ型がない?ミニマフィン型でも焼けますが、貝殻の模様もおへそも弱くなります。外側を速く固めるには、浅くて広い型でなければなりません。
くわしい説明と理由 (4)
  • おへそは温度差です。冷たい生地が220°Cのオーブンに入ると、まず外側の皮が固まります。そのとき中心はまだ冷たいので、そこのベーキングパウダーは遅れて反応し、あとからできたガスはすでに固まった側面や底を抜けられません。ガスは上へ向かいます。それがおへそです。常温の生地は全体が一度に膨らみ、向きがありません。
  • コーンブレッドと混同しないこと。あちらも冷たい生地を熱い場所に入れますが、要点は型の表面が底を揚げ焼きにすることです。ここで熱いのは型ではなくオーブンの空気で、大事なのは生地の内側の温度勾配です。組み合わせは同じでも、話は別です。
  • 予熱が短いとおへそは出ません。オーブンの中で本当に起きていることにあるように、予熱完了の音が鳴った時点で熱いのは空気だけです。20分かければ壁や天板まで熱くなり、その最初の熱がおへそを作ります。
  • 泡立てません。ドボシュ・トルタやエクレアと違い、ここで膨らませるのはベーキングパウダーだけです。泡立てると生地が軽くなって均一に広がり、おへそが消えてしまいます。

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