
お茶漬け(お茶とだしをかけたご飯)
ご飯に熱いお茶とだしをかけた、日本の一杯です。材料を見るとレシピと呼ぶほどのものはなさそうですが、決め手は3つあります。ご飯は炊きたてをそのまま使わないこと、注ぐのはご飯の高さまでにすること、そして塩気は汁ではなく具に持たせることです。味のついた汁に入ったご飯は、別の料理です。
材料
作り方
- ⏲ 6分
塩鮭を6分焼き、皮と骨を除いて粗くほぐす。この魚の塩気がこの料理の味つけなので、塩をしていない鮭を使うなら焼く前に塩をする。
だしを温め、塩をひとつまみ加える。ここできちんと味つけしない。汁が塩辛いと汁かけご飯になり、上にのせたものがすべて埋もれる。
- ⏲ 1分
お茶を90°Cで1分いれる。飲むときより熱く短くいれるのがコツ。甘みよりも香りと少しの苦みがほしく、その苦みが魚の脂を切る。
いれたお茶と温かいだしを3対2で合わせる。お茶だけだと澄んで苦く、だしを増やすとスープに近づく。この比率はその中間。
器にご飯を盛る。炊きたてをそのまま使わない。汁をかけるとくずれておかゆになる。冷やご飯なら、ざるに入れて一度湯をかけて表面のでんぷんを洗い流しながら温め、水けをきる。
ご飯の上に鮭、梅干し、青ねぎ、ごま、わさびを並べる。のりとあられはまだのせない。
汁を器の縁から、ご飯の高さまでだけ注ぐ。上から注ぐと具が散り、多すぎるとご飯が沈んでひと口目からくずれる。
最後にのりとあられを散らし、すぐに出す。あられは汁に触れたとたんにしけ始め、そのカリッとした食感が器の中で唯一の対比になる。漬物を添える。
アレンジ
- 鮭茶漬け:焼いた鮭で。いちばん一般的な形で、このレシピのもとになっているものです。
- 梅茶漬け:梅干し1個だけ。いちばん簡素で、飲んだ翌朝の一杯です。
- 鯛茶漬け:ごまだれをからめた鯛の刺身に熱いお茶をかけ、半分火を通します。これは料理屋の味に近いものです(寿司)。
- 納豆、明太子、たらこ、塩昆布:塩気とうま味のあるものなら何でものせられます。汁にほとんど味がついていないからこそ、全体が成り立つのです。
- だし茶漬け:お茶を使わず、だしだけ。香りは控えめですがやさしく、料理屋の締めの一品としてよく出ます。
- 湯漬け:お茶以前の形で、お湯だけをかけたもの。江戸時代にお茶が広まり、いまのお茶漬けがそれに続きました。
- インスタント版:1952年の永谷園の袋入りが、どの家の戸棚にも置かれるようにしました。袋の中身は粉末だし、のり、あられです。
- 残りご飯の行き先:おにぎりと同じ枠です。昨日のご飯を一食にする2つの方法で、おにぎりをそのまま器に落とすこともあります。
- 同じだしでできるもの:味噌汁、うどん、ざるそば。
- ほかのご飯にかけるもの:牛丼、親子丼。でんぷんに汁をかけるという形では、トッククとも重なります。
コツ
- 冷やご飯は洗います。ざるで一度湯をかけると、表面のねばつくでんぷんが洗い流され、同時にご飯が温まります。この一手間が汁を澄んだまま保ちます。
- 汁はご飯の高さまで。沈めると最初からおかゆで、最後の数口は水っぽくなります。ご飯が半分汁につかり、上が汁から出ている状態がよいのです。
- 汁に味をつけないこと。味つけは鮭の塩気、梅干しの酸味と塩気、そして漬物です。汁にまで塩をすると対比が消え、ただの汁かけご飯になります(塩、味のバランス)。
- 器の縁から注ぎます。上からかけると、並べたものが散り、のりがへたります。下から満たせば、器の上のほうは乾いたままです。
- のりとあられは最後に。あられの歯ごたえは器の中で唯一の対比で、汁に触れた瞬間から失われ始めます。散らしたらすぐ出します(食べる温度)。
- 鮭は粗くほぐします。細かくすると汁に散って、どこにあるのかわからなくなります。スプーンに引っかかるくらいの大きさがよいのです。
- わさびは汁に溶かさないこと。ご飯の上に置いて食べながら混ぜれば最後までもちますが、最初に溶かすと熱い汁がすぐに香りを飛ばしてしまいます。
- 作り置きしないこと。数分のうちにご飯が汁を吸ってふくらみ、別のものになります。準備はすべて先にして、汁は最後の最後にかけます(残り物の温め直し)。
くわしい説明と理由 (4)
- 炊きたてのご飯をそのまま使わないこと。この料理が残り物から生まれたのには理由があります。湯気の立つご飯はすでに水分を吸いきっていて、汁をかけるとただくずれます。冷やご飯はでんぷんが固まって形を保つので、器の中でも粒が残ります(ご飯の炊き方)。
- お茶は熱く短くいれます。飲むためのお茶は70〜80°Cでゆっくりいれて甘みを引き出しますが、ここでは90°Cで1分が正解です。残る苦みが、魚の脂とご飯の甘さを切ります。
- 脂の多い具にはほうじ茶が合います。焙煎してあるのでカフェインが少なく香ばしく、鮭やうなぎによく合います。煎茶はより澄んでキレがあり、梅干しやあっさりしたものに向きます。
- お茶とだしを合わせます。お茶だけでは香りはあっても薄く、だしだけではスープに寄っていきます。3対2なら両方の持ち味が残ります(だしとスープ、うま味の重ね方)。
この料理の土台になる基本
- ご飯の炊き方:研ぐ、水加減、蒸らしどこまで研ぐか、水をどれだけ入れるか、そして10分の蒸らしが食感を決めます。そしてチャーハンやリゾットでは、そのルールが逆になります。
- 焼き色とメイラード反応肉に焼き色がつかない理由は三つのどれかです。濡れている、フライパンが熱くない、一度に入れすぎた。さらに、フライパンにこびりついた茶色い膜がソースになる仕組みも。
- 肉の火入れ:温度、休ませ方、繊維を断つ切り方焼き加減は何分ではなく中心温度で決まります。休ませると実際に何が起きるのか、厚い肉の扱い方、そして切る向きで食感が変わる理由。
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https://cookiki.com/ja/r/ochazuke · cookiki · 利用者の投稿は CC BY-SA 4.0 で公開されています。









